73歳で高齢者総合福祉施設へ。住まいは賃貸に出し、金銭面にもゆとり

公開日:2020年7月31日|更新日:2020年10月6日

子供が巣立ち、配偶者や親を看取ったあとの実家は、一人で暮らすには少し広すぎるもの。「利便性の良いマンションや、高齢者向け住宅に移ったほうがいい?」そんな悩みを抱える方々も多いのではないでしょうか。

この記事でご紹介する女性は、73歳で高齢者総合福祉施設に住みかえました。条件にもこだわってご自身が選んだ施設では、資格取得や書道、そして美しい景色を楽しんだりと、充実の生活を過ごしています。

女性が唯一懸念されたのは、元々のお住まいをどうするか。考えた末、(一社)移住・住みかえ支援機構・JTIの提供する賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を使って賃貸に出しました。

現在は、空室時でも毎月家賃が得られるという制度の特性を生かし、金銭面でも安心のできる、豊かな生活を送っています。

目次

親の介護を経験し、自らもホームへの入居を決意

女性が住むのは、九州地方の都市部。お子様が巣立ち、ご実家でご主人やお母さまを看取られたあとは一人暮らしをしていました。築年数が古く広い一軒家は、73歳という女性の年齢では管理が難しく、暮らしやすい場所へと住まいを移すことを考えたそうです。

「母が特養に入所していた時期があったので、高齢者向け住宅や介護施設がどういうものかについては知識がありました。そこで、近隣にある高齢者向け施設の見学を始めたんです。

わたしは腰が悪いので、そのケアができるところが条件でした。ある施設の方から、近隣ではないけれど、いい施設があるというのを教えていただいて。その地域は一度も住んだことのない場所ではあったのですが、温泉も出るということを聞き、それならいいな、と思ってパンフレットを取り寄せたんです。

見学に行ってみたら、本当に景色がよかったんですね。ここは入居する価値があるな、と思い、入居を決めました」

住み替えするにあたって、元の家をどうするかがネックに

女性が迷っていたのは、元の家を売るか、それとも賃貸に出すか。空き家にすることは考えませんでした。

「年齢もあって、家を綺麗に維持・管理することは難しいな、と思っていました。家を傷ませないためにも、売るか貸すかして人に住んでいただくのがいいと思ったんです。

たとえどんなに高い値段で買った家だったとしても、空き家になってしまったら駄目だと思うんです。

価値があるものは、その価値を生かせるように管理しないと。

賃貸に出す決め手になったのは、新聞広告で見た、「マイホーム借上げ制度」という賃貸制度を知ったこと。

マイホーム借上げ制度は一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)が提供しており、耐震性などが一定以上であれば、終身で家を賃貸に出すことができます。空き家時でも保証された家賃が入り、運営には国の基金が当てられているため、これなら安心できる、と女性は考えました。

「新聞記事を読んだときは、移住・住みかえ支援機構については何も知らなかったけど、なんとなく直感で、『ここにお世話になるんだろうな』と思ったんです。実際、制度を利用して本当に良かったと思っています」

お金にまつわる心配が減り、施設での暮らしも安心できるように

制度を使ったことで、女性の生活はより一層安心できるものになりました。

「入ってくる家賃は全て手をつけずに、将来かかるであろう家のメンテナンス代に使おうと思っています。家って、建てたのと同じぐらい、メンテナンスにも費用がかかりますよね。水回りの整備なんて、100万円単位でお金が出ていくこともある。そういうお金をどこから捻出するか考えなくても良くなったのは本当に良かったですね」

思い出のつまった家を賃貸に出すことに、不安や後悔はそこまでなかったと女性は語ります。

「多少は割り切る必要がありますよね。たとえばわたしの家では、借りている人が、わたしがしていた頃と同じようには家の手入れをしてくれない、ということはあるかもしれないですよね。

近所の知り合いの人からは『家の雰囲気が以前と変わったよ』と言われたこともあります。

でも、入居している人は夫婦で仕事して忙しいのかもしれないし、実際借りてくれているんだからありがたいと思っています。自分がずっと掃除やメンテナンスをし続けられるかというとできないですから」

女性は、時期がきたら家を手放すことも視野に入れているそうです。

「娘に家を残すことも考えますが、やっぱり一番はお金を残すことなんじゃないかと思うんです。お金さえあれば、人生で困ったときも次につなげられますから。

一番いいな、と思うのは、賃貸で借りられた方にお売りすること。家に愛着を持ってくれる方にお譲りできれば、わたしも家を大事に手直ししてきた甲斐がありますよ」

自分の意思で入居したことで、楽しく生活ができる

施設の入居者の多くが、家族が入居を決めていますが、女性は自分で決めて高齢者向け施設に入居しました。

「娘からは『お母さんの考え方は時代を先取りしすぎている』なんて言われるんです(笑)。でも、娘に自分の体調のことで心配をかけさせたり、時間を使ってほしくないなという思いがありました。

娘は今、子育て真っ最中なので。わたし自身が、子育てと母親の介護を同時期に経験したので、娘にはその大変さを経験してほしくないと思うんです」

入居した当初は、集団生活に慣れず、戸惑ったことも多くあったそうです。

「人との関わりを勉強する時期なんだなと思い、施設に入居してから、行動心理士という資格を取りました。どうせなら、自分が楽しくいられるほうがいいじゃないですか。趣味ということで言うと、今は習字なんかも習っていますね。

次の10年はどうやって過ごそうか、というのをいつも考えています。いろいろと面倒くさいことはあっても、空を見て海を見て山を見て、朝日が昇るのを見ると、『今日も一日やれるんや』と思えるんです」

人生を人任せにせず、自分の意思で決める。女性の言葉からは、そんな明るい意思が感じられました。

高齢者総合福祉施設に住み替えて、元の家は「マイホーム借上げ制度」を利用しながら家賃収入を得る。この暮らし方は、高齢化社会のこれから、いっそうスタンダードになっていきそうです。

移住・住みかえ支援機構(JTI)の「マイホーム借上げ制度」については、JTIのホームページでも詳しく解説がありますので、ぜひご覧ください。

(一般社団法人)移住・住みかえ支援機構とは

2006年より運営している一般社団法人。主な業務に、個人が持つ空き家を空き室時も賃料を保証した上で、長期にわたって借上げる「マイホーム借上げ制度」などがある。運営には国の基金が設定されているほか、企業や地方自治体からも多く協賛、提携を得ている。

編集協力
一般社団法人 移住・住みかえ支援機構

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