高齢者向け住宅

働くシリーズ生の声③ 「入居者の尊厳を失わせないように」

サービス付き高齢者向け住宅の現地フロントスタッフ、アテンダー、管理者などの生の声をお届けするコーナーです。この仕事に就いた思いや、最近のサービス付き高齢者向け住宅の現状などを語っていただきます。

今回は栃木県那須町にあるサービス付き高齢者向け住宅「アクーユ芦野倶楽部」で開設以来ゼネラルマネージャーを務める『西村弘さん』を取材してきました。

目次

新規事業への挑戦

「初めて挑む業種でしたが、不安より期待感が大きかったです」と当時と変わらぬ思いを語る。
アクーユ芦野倶楽部の構想を理事長から聞いたのは約2年半前。コンセプトである「第二の人生を謳歌できるコミュニティ」を構築するため、「高齢者住宅」の世界に飛び込んだ。
ブライダルや会員制スポーツジム、イルカの飼育など多彩な業務を経験してきたが「介護」の世界は初挑戦。資格の研修などを通して必死で知識を得ていった。「今もスタッフや、研修で知り合った方から色々と教わっている。日々勉強を重ねて、入居者に少しでも良質なサービスを届けたい」と熱いまなざしを向ける。

敢えて「一律にしない」サービス

日々の業務で心掛けているのは「画一的なサービスをしないこと」。多くの魅力的な設備を持ち、長閑な丘陵地帯に構えるアクーユ芦野倶楽部には様々な理由で入居者が集まっている。「色々な業界の役員経験者などがご入居しており、凝り固まったサービスではご満足いただけない。入居者全員の顔と個性を把握して、一人ひとりの尊厳を守れるサービスをスタッフと共に徹底しています」とサービスへの思いを吐露する。
そんな中、特に力を入れているのが「食事」。オープンするまで最善な方法を模索する中で「自前での提供」を思い立った。ホテルの料理人をスカウトし、道の駅の食材を集めるなどしたことで、結果的に最高のパフォーマンスを生み出した。今では、その味を求め埼玉から日帰りで食事を楽しみにくる人もおり、「料理は“大成功”と言える。コストは多少かかっているが、ここの一番の魅力となった」と胸を張る。

時には「パパ」な一面も

今の業務は単身赴任でこなしており、神奈川には愛する妻と3人の子供がいる。月1回戻った際、子どもたちの甘えてくる姿に後ろ髪を引かれることも。そうした思いを吹き飛ばすように、栃木での休暇は趣味の水泳に打ち込んでいる。インターハイや国体で優勝した実績もあり、かなりの本格派だが「今は毎晩のお酒で太らないようにダイエット目的です」と照れ笑い。
汗をかいた後は物件隣接の「芦野温泉」に浸かるのが日課。自然豊かな場所で名湯を楽しめるのは、この立地ならではだと笑みを見せる。
夜には、入居者と食事をしながら晩酌を共にすることも。その中で物件の改善点をヒアリングしたり、過去の経営の手腕を学ぶことも。「入居者である前に人生の先輩。こうして指導してもらえる関係もありがたいです」。

手探りな中で回答を探す

完成して1年。まだまだ課題は山積。募集に関しても、色々なことに手探りで挑戦しながら正解を探している。
最近、募集の中で大事にするようになったのが「ここにどういう目的をもって入居してもらうか」。館内にはカラオケスタジオや入居者専用バーラウンジ、クリニックにライブラリーなど充実した設備が揃っているので、最近はそれらを活かす方法や地域のシニアとの交流のきっかけとして「シニアカレッジ」の導入などを検討している。
他にも入居者やスタッフから常に意見を吸い上げ、柔軟に変化を受け入れている。最近は大人気の食事をよりよくするため「入居者専用ランチ」の開発や「定期的な新メニューの導入」などを検討している。「改善点が入居者に褒められるのが最近の”やりがい”になっている。満室にして、さらにやれることを増やしていきたい」とやる気に満ちた声で語った。


アクーユ芦野倶楽部 サービス付き高齢者向け住宅登録情報
編集協力 樋口彰治(高齢者住宅協会/神奈川ロイヤル株式会社

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