11月26日はいい風呂の日~冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!

消費者庁は、高齢者の入浴中の事故が特に冬期に起こりやすいことから、2020年11月26日に「冬期に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」という注意喚起情報を出しました。

目次

概要

厚生労働省の「人口動態調査」によると、高齢者の「不慮の溺死及び溺水」による死亡者数は高い水準で推移しており、近年では「交通事故」による死亡者数よりも多くなっています。発生場所としては、家や居住施設の浴槽における事故が多く、11月~4月の冬季を中心に多く発生しています。事故を防ぐためには、高齢者本人だけでなく、家族の方など周りの方も一緒になって入浴習慣を見直すことが大切です。11月26日は「いい風呂」の日です。これから冬にかけて、家の中でも冷え込みや温度差が生じやすく、事故が起こりやすい季節です。この機会に、安全に入浴するための以下の点について確認しておきましょう。

(1)入浴前に脱衣所や浴室を暖めましょう。
(2)湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安にしましょう。
(3)浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう。
(4)食後すぐの入浴や、飲酒後、医薬品服用後の入浴は避けましょう。
(5)入浴する前に同居者に一声掛けて、意識してもらいましょう。

高齢者の入浴中の事故の発生状況

死亡者数の推移

厚生労働省の「人口動態調査」によると、高齢者の「不慮の溺死及び溺水」による死亡者数及び家や居住施設の浴槽における溺水による死亡者数は高い水準で推移しており、平成23年以降、「交通事故」による死亡者数より多くなっています。

令和元年の家及び居住施設の浴槽における死亡者数は4,900人で、平成20年の3,384人と比較すると約10年間で約1.5倍に増加しています。
一方、令和元年の交通事故による死亡者数は2,508人で、平成20年の3,757人と比較すると約10年間で約0.7倍と減少しています。

男女別・年齢別の死亡者数

高齢者の浴槽内での不慮の溺死及び溺水による死亡者数について年齢別に人口10万人当たりで見ると、年代が上がるにつれて増加しています。

特に75歳以上の後期高齢者の死亡者数の増加は顕著で、65-69歳の男性の死亡者数は5.7人/人口10万人であるのに対し、90歳以上の男性の死亡者数は52.7人/人口10万人と約10倍となっていることが分かります。
男女別では、どの年代も男性が多くなっています。

高齢者の入浴中の事故を防ぐためのアドバイス

入浴中の事故は、持病がない場合や前兆がない場合でも起こるおそれがあります。「自分は元気だから大丈夫」と過信せず、「自分にも、もしかしたら起きるかもしれない」と意識することが大切です。また、本人だけでなく家族や周囲の方が一緒に注意することが大切です。さらに、寒さが厳しくなると温度差により事故のリスクが高まる可能性がありますので、気象予測情報からヒートショックのリスクの目安を示す「ヒートショック予報」等も参考にしながら、日々の対策を心がけましょう。

入浴前に脱衣室や浴室を暖めましょう

暖かい部屋から、温度の低い脱衣所、浴室内に入ることで血圧が上がり、その後、温かい湯に入ることで血圧が低下します。この急激な血圧の変動を抑えるために、入浴前には脱衣所や浴室を暖めておくことが大切です。

居間や脱衣所も暖めましょう

居間や脱衣所が 18 度未満の住宅では、湯温42 度以上の”熱め入浴”が増加する、という研究結果もあります。

図 湯温42度以上の暑め入浴をする確率と部屋間の温度差
(一般社団法人日本サステナブル建築協会 『「省エネ住宅」と「健康」の関係をご存知でか?』より)

部屋間の温度差をなくすために居室だけでなく、家全体を暖かくすることが重要で、家全体を暖かくするためには、暖房だけでなく、二重サッシにするなどの断熱化も有効です。

すぐできる工夫

浴室に暖房設備がない場合は、「湯を浴槽に入れるときにシャワーから給湯する」、「浴槽の湯が沸いたところで、十分にかき混ぜて蒸気を立て、蓋を外しておく」などして、できるだけ浴室内を暖め、温度差が小さくなるように工夫しましょう。
また、血圧の変動を抑えるため、湯につかる前にかけ湯を入念に行いましょう。

入浴方法の工夫

湯温は 41 度以下、湯につかる時間は 10 分までを目安にしましょう。
また、浴槽から急に立ち上がらないようにすることも大切です。
食後すぐの入浴や、飲酒後、医薬品服用後の入浴は避けましょう。

入浴する前に同居者に一声掛けて

入浴中に体調の悪化等の異変があった場合は、周囲の人に早期発見してもらうことが重要です。そのためにも、入浴前に周囲の方に一声掛けてから入浴するようにしましょう。また同居者は、高齢者の入浴中は動向に注意しましょう。長時間入浴している、音がしない、突然大きな音がした、などの異常に気付いた場合には、ためらわずに声を掛けましょう。

参考

関連サイトへのリンク

○日本気象協会 tenki.jp「ヒートショック予報」
https://tenki.jp/heatshock/
気象予測情報に基づく家の中でのヒートショックのリスクの目安が分かります。

○一般社団法人日本サステナブル建築協会『「省エネ住宅」と「健康」の関係をご存知ですか?』
http://www.jsbc.or.jp/document/files/202002_house_health_leaf.pdf

○STOP!ヒートショック
https://heatshock.jp/

上へ